最終出社を終えて②
《いろいろあったなー》
思いを馳せた数日間でした。
お食事会の時間に合わせて残業させてもらえることになった私は、要の上司と2人でお話をしながら、私にとって最後の仕事をこなしていました。
ディズニーシーであったこと、今後のこと、ちょっとした思い出話…そんな他愛もない話ばかりでしたが、穏やかで楽しい時間でした。
そんなとき、早上がりで先に店に向かっていたはずの可愛い後輩が唐突に職場に現れました。
なんでここにいるのかを聞こうとすると、それを封じるかのように彼は“今までありがとう”と告げて私に何かを差し出しました。
私は驚いて語彙力を完全に失い、差し出されたものと彼を交互に見ながらそれを受け取りました。
差し出されたそれは、人生で一度も渡されたことがないくらいの大きな花束でした。
受け取った時は何が何だか分からなくて大混乱をしていましたが、一呼吸おいてもう一度花束を見つめると、その配色にとても心当たりがありました。
緑の花をメインとし、差し色で紫っぽい青の花、包装紙の内側とリボンは赤(臙脂色?)…外側は邪魔をしないクラフト紙のような色でした。
まさか、と思い返したのは前日のお昼すぎの記憶でした。
あの時、彼は唐突に私に“あんさんぶるスターズ(以下、あんスタ)”の推し(蓮巳敬人)が属する“紅月”のユニットの色について聞いてきました。
彼の口から“あんスタ”の話が唐突に出るのは今に始まったことでは無いので、特に何も気にせずに各キャラクターの色を教えました。
まさにその花束はその子たちのイメージカラーだったのです。
(後で聞いた話ですが、会社から少し離れたところにある花屋さんに“紅月”の画像を見せて、このキャラクターたちのイメージで作って欲しいと依頼したそうです。)
残業を終える直前、可愛い後輩の提案でその場にいた要の上司と可愛い後輩と私の3人で写真を撮ることにしました。
自撮り慣れしてない2人に苦笑いしながらも、私は特に手を触れずにされるがままにしていました。
今思えば私が撮ればよかったかもしれませんが、これはこれでいい思い出です。
(後日、その写真を後輩がLINEで送ってくれたのですが、その一言が“三奇人”だったので思わず紅茶を吹き出しそうになったのはここだけの秘密です。)
(“三奇人”は“あんスタ”で登場する3人のキャラクターの総称です。)
待ち合わせ場所で無事合流した別部署の仲のいい上司と可愛い後輩と共に会場へ向かうと、フレンドリーな方が出迎えてくれました。
とても優しいお母さんのような、そんな印象を受けました。
お酒とお料理が届くまでに行われたのがプレゼント交換会でした。
私のLINEにはいつの間にか、仲のいい上司からLINEギフトが届いていました。
中身は自分で色が選べるタイプのギフトで、イブサンローランの口紅でした。
“これって確かとっても高いやつでは?”と震えたのは言うまでもありません。
私は2人にディズニーシーのお土産を渡した後、それぞれ宛にプレゼントを渡しました。
仲のいい上司もまた、すぐに退職されることが決まっていたので、お礼のプレゼントとして用意していました。
可愛い後輩にも、“今までありがとう”の気持ちと“がんばれ”の気持ちを込めて用意いたしました。
仲のいい上司にはディズニーリゾート40周年記念のグッズとオマケで“タカノのフルーツチョコレート”を少しだけ入れてラッピングしたものを渡しました。
後輩には前に東京タワーを訪れた時に購入したカード型のお守りを手渡しました。
後輩から花束をいただいていたのでもうないだろうと思っていたのに、まだプレゼントがありました。
仲のいい上司にも私と同じ理由でプレゼントを手渡していました。
私は濃い緑色のラッピング袋を渡されたので、早速開封してみると、中にはお手紙と可愛らしいラッピングがされたものが入っていました。
開けてみると、そこには貝パールだと思われる大粒のもの1つがついたネックレスが入っていました。
ただのパールではなく、その上に猫が乗っかっているようなデザインのもので、とても可愛らしいのです。
首には青いリボンが巻かれているようで、それもアクセントになってとても素敵でした。
ただ、この時期は汗を沢山かいてしまうので、もう少し暑さが落ち着いたらつけようと思います。
大切に長く使いたいものは使うタイミングをこだわりたくなる主義なので…。
(ここぞと言う時は問答無用でつけます。)
その後は他愛もない話をしながらお食事を楽しんでお開きとなりました。
これからは会社の仲間ではなく、友達として付き合っていけたらいいなと、淡い期待を寄せながら、私は帰りの電車に揺られて一眠りしたのでした。
これにて、私の秘密のプロジェクト〜転職〜は幕を閉じました。
とは言っても、今度は新たな人生の幕開けが待っています。
それまでおよそ1ヶ月…。
私は自分の身の回りを整えながら、思い切り大人の夏休みを堪能して、新たな人生を歩み始めようと思います。
皆様どうか、こんな未熟な私を見守ってくださいますよう、よろしくお願いいたします。
それでは今回はこの辺で失礼致します。
どうぞごゆるりとお過ごしください。